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『水五訓』と合氣道

 30年ほど前、とある企業の社長(現会長)から​『水題』と書かれた人生訓を戴きました。

 世の中にインターネットが普及した後調べてみると、この人生訓は『水五訓』(または水五則)と言われ、戦国時代の天才軍師黒田官兵衛が書き残したもののようです。

 迷った時の道標として『水五訓』を座右の銘としている著名な経営者もたくさんいらっしゃるそうですが、400年以上前に説いた教えが現代でも十分通用していることを考えると、先人黒田官兵衛がいかに優れていたかということを物語っているのではないでしょうか。

 

 この『水五訓』、合氣道にも通ずるところがあり、究めれば自らを『水五訓』の水のようにいかようにも変化させ、己を痛めることなく戦える武道だと思っています。

 合氣道は基本的に自らは攻撃を始めない武道ですが、

一、先々の氣を意識し導き(自ラ活動シテ他ヲ働カシムルハ水ナリ)

一、常に動きを絶やさず流れるように動き(常ニ自己ノ進路ヲ求メテ止マザルハ水ナリ)

一、ぶつかればさらりとかわしたのち攻撃に転じ(障害ニ逢ヒ激シク其ノ勢力ヲ百倍シ得ルハ水ナリ)

一、敵対せず、時に攻撃を吸収し自らの力に蓄え(自ラ潔ウシテ他ノ汚レヲ洗ヒ清濁併セ容ルヽノ量アルハ水ナリ)

一、寛容な心で剛柔使い分け、全体を俯瞰し、明鏡のごとく邪念を捨て、止水の心で相手に臨む(洋々トシテ大洋ヲ充タシ發シテハ蒸氣トナリ雲トナリ雨トナリ雪ト変ジ霰ト化シ凝ッテハ玲瓏タル鏡トナル而モ其性ヲ失ハザルハ水ナリ)

 まさに合氣道は、『水五訓』の水のようではありませんか。

​ 私自身、まったくその域に達していませんが、黒田官兵衛『水五訓』の教えを目指し、精進したいと思っております。​

令和 5年 7月

​澤渡 昌利

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